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産まれたときから
オトコの子とオンナの子っていうのは
俺とグリーンだったから
ゴツゴツゴツ
グリーンは自宅の部屋で本を読んでいた。
なのに夜中の12時、2階の窓を叩く音が聞こえた。
またかやれやれと重い腰をあげて、カラリと開けた窓の外には胡座を掻いている状態で、宙に浮いてる人間がいた。
「よっグリーンっ!」
へらりとした笑いを浮かべたレッドだ。
よくよく見ると足の下に渦を巻いたツルが伸びており、その下のフシギバナと繋がっていた訳だ。
「何時だと思ってる、この非常識、僕はもう寝るところなんだぞ」
僕が呆れた様子で、非難を口にしても、いいからいいからと聞く態度も見せずに図々しく部屋に入り込んできた。
コイツはいつも勝手ばかりする男なのだ。
「これ、なんだ?」
レッドが右のポケットからひょいと何かを取り出した。
「...月の石...じゃないか
なんだお前はそんな物をわざわざ見せに来たのか?」
「夜中に」
博識の僕が知らない訳がない、
月の石は確かに希少性が高い物だが、カントーのオツキミ山では他の地方より比較的発掘率が高く、1日山に籠もれば大概見つかるそう珍しい物ではなかった。
だから、僕はなんだそんなものかと素っ気ない態度をとった。が、ヤツはそこでまたニヤリとしたわけだ。
(正直気持ち悪い...)
「オレが見せたかったのは...こっち!」
今度は左のポケットから何かオレンジっぽくてトゲトゲしたものを出した。コレも、石だったが...
そのオレンジの輝きに好奇心が揺れた、初めて見たからだ。
「まさか...太陽の石?」
「ヒヒ、どうだ?驚いたろっ?」
確かに、僕もジョート地方の発見例の書聞でしか情報を知り得なかったから実物を見てみたいと思っていた。
キマナッツをキマワリに進化させたりする、太陽の力を持つ石。不思議とそのものも淡い光を灯しているかのように見えた。
「...で、それを見せびらかしに来たわけか?」
夜中に
そりゃ珍しいし僕も驚いた。だけど正直こんな時間に押し掛けてこられても迷惑他極まりない話じゃないか、常識的に、普通に、考えて、
(なぁ)
「レッ...」
「いや、今じゃなきゃ駄目なんだ」
僕が説教を始める前に、レッドが真面目な顔(のつもり)で話を遮った。
レッドが押し掛け...もとい訪ねてきたのは、夜中の12時。
笑った口の形をした月がちょうど空の真ん真上で輝いていた。
「グリーン、こっち、持って」
そう言うとレッドは僕に月の石を握らせた。手のひらにキュッと収まる大きさの手触りの良い石。指の平がちょうど表面の窪みに触り、三日月のラインをなぞった。
「何なんだよ、レッド?こっちをくれるのか?」
「んーん、違うよ。
俺が太陽で、月はグリーンなんだ」
月の光を背にたレッドが真顔でこんなギャグを飛ばした。
まてまて、これは新ネタか。
理解不能なワードを打たれて、僕の脳はややフリーズした。
そんな僕の様子を見計らって(やっぱりからかってるのか?)レッドが言い訳臭い理由を話出した。
「いやさ~なんかのテレビかラジオで聞いたんだけどさ~、太陽と月ってそれぞれ男と女をあらわしてるんだってさ!」
そう言うのをしょうじょう...?いやちょうちょう...?とか何やら記憶と格闘していたが、おそらく象徴と言いたいのだろう。
あぁ、へぇ。まぁそんな話もあるだろなと、とりあえずはレッドの言い分を聞き入れた。
「太陽と月が男と女の象徴ね」
だから
「それからどうしてお前が夜中に僕の部屋に来る経緯になるわけ?」
いい加減バカバカしい、眠気もいい感じに誘ってきている、若干イラついてさえしてきた。
「あぁ、いやだから...!」
さすがにその気配を感じ取り、電気を消してベッドに潜り込もうとする僕の体を取り繕うようにレッドが引き止め、こう言った
「俺にとって女の子っ…グリーンだけだから...!」
「.........あぁ?」
レッドが僕の腕を引っ張り再度向き合う状態にする。
月の石を握っていた僕の手を、右手でぐっと僕の胸に押し当て、自分は左手で太陽の石を自分の胸に押し当てていた。
「だから...俺にとっての月はグリーンだけ...
グリーンだけだから」
「グリーンにとっての太陽は、俺だけだったらいいな」
しばらく沈黙が続いて、僕はやっと事態を把握する答えが浮いてきた。
「あぁ、だから
お前の自己満足の為にここに来たんだな」
「自己満足だなんてヤダな~~~~!ロマンチカレッドさん☆くらいに言ってくれよ~♪」
ロマンバカレッドと命名してやろう。
つまりがコイツは、この男と女の妙な儀式をするため...に.........
「眠い、寝る。帰れ」
呆れるのも怒るのも、最早色々限界だった、こいつの酔狂に付き合ってたら身がもたん。僕はそそくさと電気を消し、ベッドに潜り込んだ。
月の石はレッドにおしてけて返した。
「あぁんっグリーンんぅっ!まだ残ってることあるんだよ~ん!」
ぶっちゃけキモイ声色でまだレッドが突っかかってくる、ヤツに背を向けて、声だけで「なんだ」と返事した。
「コレは交換、俺だと思ってくれよ」
その声のあとにゴトリという音だけ響き、レッドの気配は部屋から消えていた。
やっと帰ったか...と思ったその次の思考が浮かぶ前に僕は眠りに落ちた。
ゴト...リ...?
夜が明けて、程よく登った太陽が部屋の中をテラテラと明るくしていた。
僕は顔を洗いにベッドから降りた、その瞬間チカリと輝く光が僕のまだ覚醒しきらない目を刺した。
「...あぁ...昨日のゴトリはコレか...」
僕はぼんやりと昨夜の出来事を思い出し、机の上にあったゴトリに手を取った。昨夜より朝日を浴びて一層輝くゴトリ。
「結局はくれたってことだよな、ならまぁ許してやるか」
俺だと思ってくれよ。
「ならお前は月の石を相手に、僕を思うのか?」
キモって、思いながら何かが心をくすぐった。
アイツがくれたのは男の象徴だとかいう太陽の、 石
貰えて嬉しいというのは正直だが、大切にしろよ的な指摘は受けていないので、おじいちゃんのトコに持って行って解析したり分割したりしてみよう。
うん、楽しみだ。
↑ひどいぞグリーン
グリ子はかわいそうなのでうちの中では愛称みどりちゃんです
女の子でも性格鬼でした。文面だけだと女の子のかけらもありゃしない。
というか襲われるぞ。
男女を意識してるのはレッドさんだけのようです。
レッド哀れ。そしてロマンバカレッド